中古マンション購入に適した築年数は?平均や耐震性・注意点を解説
マンションを購入する際、中古マンションも含めて検討している方も多いのではないでしょうか。
築年数の浅い新しいマンションを好む方もいれば、リノベーションして自分好みの家に住みたいと考える方もいます。マンション購入において自分が何を重視するのかを明確にすることが大切です。
当記事では、築年数がマンションの資産性や耐震性にどう影響しているのか、築年数ごとのマンションの特徴について解説しています。中古マンション購入時に注意したいポイントも紹介しているので、中古マンションの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
【この記事はこんな方におすすめです】
- 中古マンションか新築マンションで迷っている方
- マンション選びにおいて資産性を重視している方
- 購入に適した築年数を知りたい方
市場に出回る中古マンションの平均築年数
2023年7月から9月に首都圏で売買された中古マンションの平均築年数は、24.01年となっています。また、新規登録された中古マンションの築年数は29.77年となっており、ともに築年数は上昇傾向にあります。
このことから、市場に出ている中古マンションは築古物件が増えていることが分かります。
実際に売買された中古マンションの築年数は、31年以上の物件が32.4%と最も大きなウェイトを占めています。
(引用:公益財団法人 東日本不動産流通機構「サマリーレポート 2023 年 7~9 月期」)
中古マンションの築年数と資産性の関係
マンション売買では、「築年数が経過するほど資産性は下がる」と考える方が多いですが、マンションの資産価値は個別の条件や市場状況によって変動するため、一概に断定はできません。
前提として、マンションの資産価値は「土地」と「建物」の価値で決まります。建物は減価償却されるため、築年数に応じて価値は下がります。しかし、土地は減価償却されないため、築年数の影響を受けることはありません。地価の上昇が、建物の減価償却幅を超えた場合、マンションの資産価値は上昇します。例えば、都市開発により地価が高騰した場合、マンションの資産価値は上昇します。
あくまでも築年数は、マンションの資産価値を決める1つの要因でしかありません。
築年数以外の条件が変化しない場合、築年数に応じてマンションの価値は下がりますが、築年数25年前後で下げ止まりが生じるため、それ以降で大幅な価値低下はありません。
資産性を重視して中古マンションを購入したい方は、地価の上昇が見込める地域で築年数25年以上の物件を選ぶと、価値低下のリスクを最小化することができます。
中古マンションの耐震性
「マンションの耐震性」とは、地震発生時に建物がどれだけ揺れに耐えられるかの強度を示す指標です。身の安全を守ることにつながるため、マンションを選ぶ際にチェックすべき項目の1つです。日本では、建物を建築する際に耐震基準が設けられており、代表的なものに旧耐震基準と新耐震基準があります。
旧耐震基準とは、1981年よりも前に建築された建物に適用されている耐震基準です。震度5の揺れに耐えられるように設計されています。しかし、1978年に起きた宮城沖地震で大きな被害を受けたことから、耐震基準の見直しが行われました。
新耐震基準とは、旧耐震基準が厳格化されてできた基準で、1981年以降に建設された建物が対象です。震度6から7の地震でも倒壊しない強度で設計されています。
ただし、耐震性は建物の劣化とともに低下するため、中古マンションを購入する際は、築年数とマンションの管理状況を必ず確認しましょう。
中古マンションの築年数ごとの特徴
中古マンションを購入するにあたっては、建物の寿命も気になるポイントの1つです。日本では、建築基準法において建物の耐用年数を定めています。耐用年数とは、減価償却がゼロになるまでの年数のことで、実際の建物の寿命とは異なります。
マンションの法定耐用年数は47年とされていますが、実際のマンションの平均寿命は68年
です。しっかりとメンテナンスを行い、適切に修繕工事をしていれば、耐用年数を過ぎても住める可能性は高いです。
ここでは、築年数ごとの特徴をご紹介します。
築年数10年
なるべく新しいマンションに住みたい方におすすめ
- メリット:リフォームやリノベーションが必要ない
- デメリット:築浅物件は人気のため価格が高い
築年数10年以内のマンションは、築年数が浅くて綺麗ということから人気の高い物件です。リノベーションやリフォームで家の内装はかえられますが、共有部や外観は自分では変えられないため、建物自体が新しい築浅物件に人気が集まります。新築よりも費用を大幅に抑えることができるのも、人気の理由の1つです。
ただし、他の中古マンションに比べると価格は高いため、予算と相談しながら決めましょう。
築年数20年
予算を抑えつつも耐震や住み心地を重視したい方におすすめ
- メリット:予算・資産性・耐震などのバランスが取れている
- デメリット:物件によってはリフォームやメンテナンスが必要
築年数20年の物件は、築浅物件に比べると価格は6割程度まで下がっているので、予算を抑えることができます。築年数が25年を経過すると価格の下げ止まりが起きるので、資産性を重視される方にもおすすめの物件です。
新耐震基準に基づいて建築されていますが、物件によっては建物や設備が古くなっている場合があります。管理人にマンション修繕について、工事の実施状況や修繕積立金について確認しておくと安心です。
場合によっては購入後にリフォームやリノベーションが必要になる場合があるので、室内の設備や内装のチェックも必ず行いましょう。
築年数30年
広さや立地などの条件を重視する方におすすめ
- メリット:資産価値の低下が起こりにくい
- デメリット:リノベーションやメンテナンスが必要
築年数30年前後のマンションは、建設ラッシュ時に建てられたものです。そのため新築や築浅のマンションに比べて敷地面積が広い傾向があります。建築された当初は人口が少なかった地域でも、現在では都市開発が進み利便性が向上した地域があります。そういった地域に建てられたマンションであれば、築浅物件よりも好立地・好条件で購入することが可能です。
また、資産価値が大幅に低下するリスクが少ないのも特徴の1つです。価格が下げ止まった後なので大幅な価値低下は起きにくく、近年では売買されている中古マンションのうち築年数31年以上の物件が3割を超えています。
ただし、建物や設備の老朽化は進んでいるため、マンションの管理状況は必ず確認しておきましょう。
築年数40年
好立地・好条件な物件を安く購入したい方におすすめ
- メリット:価格が安く立地条件の良いマンションが多い
- デメリット:管理やメンテナンスに費用がかかる
1981年よりも前に建てられたマンションは、旧耐震基準に基づいて建築されています。建物の老朽化も進んでいるため、耐震性や強度が下がっている場合があるので注意が必要です。管理費や修繕積立金が値上がりする可能性があるため、管理やメンテナンスに費用がかかる前提で購入しましょう。
ただし、40年以上前に建てられた建物は立地条件の良いマンションが多いので、好条件のマンションを相場より安く購入できるメリットがあります。
築年数50年〜
好立地・好条件な物件を安く購入したい方におすすめ
- メリット:メンテナンスや管理が行き届いたマンションである可能性が高い
- デメリット:耐震性や老朽化に注意が必要
築年数が50年のマンションは、旧耐震基準に基づいて建築されており、建物の老朽化も進んでいます。ただし、築年数50年以上が経過していても売りに出されるということは、それだけ管理者や管理やメンテナンスに力を入れていたとも考えられます。
マンションの法定耐用年数は47年とされていますが、国土交通省によると、多くのマンションに用いられている鉄骨鉄筋コンクリートで造られた建物の寿命は、117年と推定されています。築年数が50年以上経過していても、しっかりとメンテナンスされていれば数十年住み続けることも不可能ではありません。
購入時は、長期修繕計画やこれまでの修繕履歴を必ず確認しましょう。
(参照:国土交通省「「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」取りまとめ後の取組紹介」報告書)
中古マンションを購入する際の注意点
中古マンションを購入する際は、下記の3つに注意しましょう。
- 修繕が適切に行われているかの有無
- 空室の空き状況
- 見えない部分の建築構造
それぞれ詳しく解説します。
修繕が適切に行われているかの有無
通常、マンションでは10年から15年に一度のサイクルで大規模修繕工事が実施されます。大規模修繕工事は、建物を安全に維持するためにマンションの屋根や外壁、エレベーター、エントランスなどの共有部分を修繕する工事のことです。これまでの修繕履歴を確認し、長期修繕計画に沿って行われているかどうかを確認しましょう。
築年数が新しくても、適切な管理や修繕が行われていないマンションは劣化が進んでいる可能性があります。反対に、築年数が古いマンションでも、適切に管理・修繕されていれば劣化が進んでいない場合があります。
また、これからの修繕計画を確認することも大切です。不動産会社が作成する「重要事項調査報告書」に修繕金積立金がどのくらい貯まっているか、滞納者がどのくらいいるのかといった情報が記載されています。修繕工事を行うためには巨額な費用がかかるため、計画通りに積立できているかチェックしましょう。
空室の空き状況
マンションの空室が多いと、十分な修繕積立金や管理費を徴収できません。管理や工事がきちんと行われない可能性や、購入後に修繕積立金や管理費を値上げされる可能性があるので、空室が多いマンションは注意が必要です。
見えない部分の建築構造
エントランスやエレベーターなどの共有部分や外観から、マンションがしっかり管理されているように見えても、目に見えない部分で劣化が進んでいる可能性があります。
例えば、水道管や給排水設備、電気、ガスなどの設備は見た目で劣化を判断できません。適切に管理されているのか、更新状況を確認しましょう。
また、配管構造も重要です。配管がコンクリートに埋まっている場合や、下の階の天井裏を通っている場合、予定通りにリノベーションを進められない可能性があります。
購入後のトラブルを防ぐためにも、念のため建築や配管の構造まで確認しておくと安心です。
リノベーション前提で中古マンションを購入する際のポイント
近年では、自分好みの生活空間を手に入れるため中古マンションを購入し、リノベーションする方も増えています。リノベーションをする前提でマンションを購入する際にチェックしたいポイントをまとめました。
- 間取りの変更が出来る構造になっているか
- 配管経路や位置がどうなっているか
- 管理規約でリノベーションの制限が定められていないか
- マンションそのものの管理に問題がないか
- 購入前にリフォームやリノベーションがされていないか
特に重要なのは、建物の構造と配管経路です。
建物の構造上、壁を壊すことのできない物件や、水回りの位置を変えられない物件があります。理想の間取りを実現できない可能性があるので、必ず建物の構造と配管経路は確認しておきましょう。
リノベーションを前提にしている方だけでなく、将来的にリノベーションやリフォームをする可能性がある方にとっても大切なポイントです。
まとめ
近年、中古マンションの需要は高まっており、市場に出ている中古マンションの築年数も上昇しています。
実際に売買されている中古マンションのうち3割以上が築年数30年以上なので、築年数が経過しているからといって、資産性が低下するとも言い切れません。一概に築何年の中古マンションが適しているとは断言できないので、自分が何を重視しているのかで適した築年数のマンションを選びましょう。
中古マンションの購入や売却を検討している方は、お気軽に弊社までご相談ください。