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マンションが高すぎて買えない!価格推移と高騰理由を解説

不動産売買
マンションが高すぎて買えない!価格推移と高騰理由を解説

近年、マンション価格は上昇傾向にあります。社会情勢の影響を受けやすいため、価格高騰の背景には様々な要因が考えられます。

当記事では、マンション価格がどのように推移しているのかを、新築と中古に分けて詳しく解説しています。マンション価格が高騰している理由や、下がるタイミングについてもご紹介しているので、マンションの購入や売却を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

【この記事はこんな方におすすめです】

  • マンションを購入したいが、価格高騰が気になっている方
  • なぜマンション価格が高騰しているのか理由を知りたい方
  • いつまで価格高騰が続くのか気になっている方
  • マンションの価格が下がったタイミングでの購入を検討している方

マンションが高すぎて買えない!価格推移を紹介

マンションが高すぎて買えない!価格推移を紹介

国土交通省が公表している「不動産価格指数」では、近年不動産価格の高騰が続いており、中でもマンションの価格は、2013年以降急激な値上がり傾向にあることが分かります。

(引用:国土交通省「不動産価格指数」令和5年8月31日公表データ

不動産価格指数とは、年間約30万件の不動産の取引価格情報をもとに不動産価格の動向を指数化したもので、2010年の平均値を100として数値を算出しています。2023年5月時点におけるマンションの不動産価格指数は188.6となっており、2010年の1.89倍の価格で取引されています。
一方で、住宅地の価格指数は111.1、戸建住宅の価格指数は116.5となっており、マンションほどの価格高騰は起きていません。

マンションにおける価格推移を、新築と中古に分けて詳しく解説します。

新築マンション価格推移

一般社団法人不動産協会が公表している「新築マンション1戸当たり平均価格の推移」によると、首都圏のマンション価格は上昇傾向にあります。

首都圏における新築マンションの平均価格(直近5年分)

  • 2018年:5,871万円
  • 2019年:5,980万円
  • 2020年:6,084万円
  • 2021年:6,260万円
  • 2022年:6,288万円

(参照:一般社団法人不動産協会「日本の不動産業 不動産関連データ」

2022年の平均価格は6,288万円と前年比で0.4%上昇しました。2018年は5,871万円だったので、5年間で見ると7.1%上昇しています。
バブル期だった1990年は6,123万円だったことから、2022年時点で新築マンションの価格がバブル期を上回るほど高騰していることが分かります。

中古マンションの価格推移

公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している、首都圏における中古マンションの価格推移は下記の通りです。

首都圏における中古マンションの平均価格(直近5年分)

  • 2018年:3,333万円
  • 2019年:3,442万円
  • 2020年:3,599万円
  • 2021年:3,869万円
  • 2022年:4,276万円

(参照:公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」

2022年の平均価格は4,276万円と、前年比で10.5%上昇しました。2018年は3,333万円だったので、5年間で見ると28.3%と3割近く価格が高騰しています。新築マンションよりも高い上昇幅で価格が推移していることが分かります。

マンションの価格が高騰している理由

マンションの価格は、社会情勢の影響を受けて変動することが特徴です。近年マンション価格が高騰している背景には様々な理由がありますが、ここでは下記4つの要因について解説します。

  1. 建築資材価格や人件費の増加
  2. 金融緩和政策による低金利
  3. 新築マンションの供給戸数の減少
  4. 地価の上昇

建築資材価格や人件費の増加

マンション価格が高騰している理由の1つに、建築資材価格や人件費といったコストが増加していることが考えられます。
建築資材価格は、一般社団法人建設物価調査会が毎月「建築資材物価指数」を公表しています。公表されたデータによると、2023年8月の建築資材価格は、2015年の平均価格の1.33倍にまで増加しています。2021年以降、急激な価格上昇が続いており、2022年11月には2015年の1.3倍を上回りました。

(引用:一般社団法人建設物価調査会「建設物価 建築資材物価指数【2023年8月分】」

また、建設業界の人手不足が深刻化している影響で、採用や教育のコストが増加していること、人材確保のため給与水準の引き上げる必要があることにより、人件費の上昇が続いています。一般社団法人日本建設業連合会によると、2002年には600万人を超える建設業就業者がいましたが、2022年では500万人を下回っており、直近20年間で100万人以上が減少しています。

(引用:一般社団法人日本建設業連合会「建設業デジタルハンドブック」

金融緩和政策による低金利

2013年に日銀が行った金融緩和政策により金利が低くなったことも、マンション価格に影響しています。

金融緩和政策とは、国債や投資信託等の買い入れを行うことで市場へ資金を流入させ、市場金利を引き下げる金融政策のことです。住宅ローン金利は長期国債の金利と連動しているため、金融緩和政策が行われると住宅ローン金利は低下します。購入者の住宅ローン返済の負担が抑えられるため、住宅購入の需要が高まり不動産価格の上昇を招きます。これにより、金融緩和政策による低金利がマンション価格の高騰につながっていると考えられます。

新築マンションの供給戸数の減少

首都圏における新築マンションの供給戸数(直近5年分)

  • 2018年:37,132戸
  • 2019年:31,238戸
  • 2020年:27,228戸
  • 2021年:33,636戸
  • 2022年:29,569戸

(参照:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2022 年のまとめ」

新築マンションの供給戸数は、2018年の37,132戸から2022年の29,569戸まで、5年間で約8%減少しました。
需要に対する供給量が減少するとモノの価格は上昇するため、供給戸数が減少したことで新築マンションの価格は上昇します。さらに、新築マンションの価格が上昇することで中古マンションの人気が高まり、マンション全体の市場価格が上がっていると推測されます。

地価の上昇

下記は、エリア別の公示地価の推移を表にしたものです。

(引用:国土交通省「令和5年地価公示の概要」

令和3年(2021年)を除くと、ほぼ全てのエリアで地価が上昇しています。地価が上昇すると、マンションを建設する際の土地の仕入れ価格が上昇するため、マンションの価格にも影響します。

令和3年は、新型コロナウイルスの影響で都市部から地方へ移動する人が増えたため、都市部の地価が下落し、地方の地価が上昇したと考えられます。

マンションの価格高騰はいつまで続く?価格が下がりやすいタイミング

マンションの価格高騰はいつまで続く?価格が下がりやすいタイミング

マンション価格は、社会情勢の影響を受けやすいことが大きな特徴です。現在は、「建築資材や地価が上昇していること」、「建設業界の人手不足が進んでいること」、「低金利により購入意欲が増大していること」、「新築マンションの供給戸数が減少していること」等が原因で、価格高騰が続いています。今後もしばらくは価格高騰が続く見込みですが、世界情勢や国内景気が変化することで価格下落が起きる可能性も否定できません。

例えば、日銀が利上げに踏み切った場合や、円安から円高に転じた場合には、日本の不動産価格が低下する可能性があります。また人々の住居に対する考え方が変化した場合にもマンション価格が変動することがあります。地方人気が高まった場合には、都市部のマンション価格は低下し地方のマンション価格が上昇します。持ち家志向から賃貸志向の人が増えればマンション価格は低下します。
価格が下がりやすいタイミングを予測するためには、「金融政策の見通し」「物価の変動」「居住スタイルのトレンド」「建設業界の動向」等に注意しておくことが重要です。

まとめ

2013年以降、マンション価格は上昇傾向にあります。5年前と比較すると、新築マンションで7.1%、中古マンションで28.3%と、急激な価格上昇が起きていると言えます。
マンション価格は、社会情勢の影響を受けやすいため今後の見通しを立てづらいことが特徴です。金利が上がる時や円高に転じる時が価格の下がりやすいタイミングですが、必ず下がるとは断定できません。

価格が下がってから購入しようと待っている間に、希望の物件が売れてしまう可能性や金利上昇でローン返済の負担が重くなってしまう可能性があります。価格が下がる時期が必ずしも購入にベストなタイミングとは限りませんので、慎重に判断しましょう。

マンションの購入や売却を検討されている方は、お気軽に弊社までご相談ください。